ビルの省エネ指南書」カテゴリーアーカイブ

ビルの省エネ指南書(30)

照明のチューニングポイント〔其の1〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

照明のチューニングポイント(1

業種にかかわらず最も多くのビルでおこなった省エネ対策が照明関連だろう。簡単にいえば照明の場合は消すか器具を交換するしかないので分かりやすい。省エネチューニングをするといっても、照明器具の取り付け位置や器具自体を何度も変更するわけにはいかないので、点灯時間をいろいろと変えてみるか消灯個所を増やすぐらいである。

次に照明対策について考えてみたい。

1、消灯率と来客率

近所の食品スーパーに立ち寄ると、照明の間引きで店内が薄暗く、この店は余程経営が苦しいのだなと思ったことがある。その時はまさか節電のためだとは思いもしなかったのだ。

40Wの蛍光管を100本消しても4kWにしかならない。電気代を平均単価で計算しても1時間で60円程度であろう。

しかし店内は100本も消すとかなり暗くなってしまうし、100本も消せる食品スーパーは、かなり大きな店舗である。

消灯率と来客率も無縁ではないだろう。消灯率を高くすれば来客率が下がってくるだろうことは想像できる。実験データはないが、半分消灯しても来客数が以前と全く変わらないとは思えない。必ず来客数が減り、売上げは下がるはずだ。

勇気のあるスーパーは消灯率を10%ずつ増やしていき、来客率がどのように変化するのか、最後は全消灯状態まで実験してほしい。興味のあるデータが集まるとは思うが、実施は不可能であろう。現実的に30%の消灯も難しいかもしれない。

2、消灯場所

40W蛍光管100本の消灯で僅か60円/hを節約してもお客が一人減れば差引マイナスであろう。

お客が減れば商品の回転も悪くなる。悪くなれば商品が古くなる。古くなるから陳列数を減らす。

薄暗くて陳列商品の少ないスーパーに誰が行くだろうか。店内を暗くする消灯とは、悪循環の始まりなのである。

食品スーパーは出入口側が一面ガラス張りの店が多い。コンビニの場合もそうだ。しかしどうせ消灯をするならば、外光の入らない店の奥ではなく、外光が入るガラス面近くを一列全て消灯したほうがお客の理解も得られやすい。店の奥では一列全てを消灯する訳にはいかないので、飛びとびの消灯となるが、これは見た目が悪い。暗いので上を見ると蛍光管を取り外した器具が目に入るのだから当然だ。しかしガラス面近くの一列全てを消灯すれば、節電のためだと一目で分かる。外光が入る場所ならば照明が無くても気にならないし、このような場所には商品自体がそれほど並んでいないので、多少暗くても不便は感じない。ただし外が暗くなって来ると点灯させることを忘れてはならない。

3、装飾照明

照明にも照度を確保するための照明と、飾りの照明がある。外から見えるガラス面近くにこのような大して役にも立たない照明が設置されているスーパーもある。店内の柱や壁にも飾りの照明が見受けられる。このような店内の照度に殆ど寄与しない照明ならば、消灯していても違和感はない。

これが電球ならばW数の小さなものに換えるだけでもよい。飾りの照明なので点灯さえしていれば、明るさがどうのというお客はいないであろう。

4、LED

最近はLED照明がよく使われるようになってきた。次々に改良されたLED照明が出て来るので、換え時が難しいが、照明は発熱も多いので、冷房主体の食品スーパーには消費電力の少ないLED照明は最適だろう。

問題は生鮮食料品が並ぶ場所にあるスポット照明である。これらにはハロゲン系統の電球が使われることが多いが、これらの電球もいずれLEDに置き換わるだろう。電球の明かりにこだわる人もいるが、電球なので口金サイズさえ合えば簡単に交換することもできる。今すぐ全てを同時に交換する必要はないが、1か所だけでもLED電球に交換して、今後の計画を立ててみるべきだろう。

電球の明かりにこだわることは止めたほうがよい。

ビルの省エネ指南書(29)

空調機のチューニングポイント〔其の11〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

空調のチューニングポイント

不快指数冷房(6

23、省エネと快適性の両立とは 

不快指数を基準とした冷房を行えば、温度を下げてもよいと思っているかもしれないが、不快指数が低いのに、さらに温度を下げる必要はない。不快指数冷房はさらに快適にするためにあるものではなく、現在が快適なビルならば、その分のエネルギーを省エネのほうに振り向けた方がよいだろう。

不快指数冷房は快適なビルをさらに快適にするためにあるのではなく、もっと温度を上げたいが、これ以上室温を上げると室温が29℃や30℃になり、室温を上げたくても上げることができないというビルのためにあるのだ。

室温を30℃にできなくても、それと同等以上の省エネ効果があり、それよりも不快指数が下がると考えればどうだろうか。省エネと快適性が両立できているはずだ。

24、不快指数と省エネ 

室温を高くすれば省エネになるものではないのと同じように、不快指数も高ければ省エネになるものでもない。省エネになるのは室内のエンタルピが現在よりも高くなったときである。

それならば、同じエンタルピで不快指数を低くした冷房をするほうがよいに決まっている。

グラフ-2で不快指数とエンタルピの関係を説明する。

実線は不快指数線で、不快指数73から77までの各線である。

破線は30℃40%を基準としたエンタルピ57.25 kJ/㎏を表すエンタルピ線である。

破線上は同じエンタルピなのであるから、同じエンタルピでもグラフ左上の不快指数77の場合もあれば、グラフ右下の不快指数74の場合もあることになる。

同じ量のエネルギーを使って冷房をするならば、不快指数77よりも不快指数74のほうがよいと誰でもが思うだろう。

グラフ-2 不快指数と省エネ

室温で考えれば、同じエネルギーを使って室温が30℃の場合と26℃の場合はどちらがよいかと云うのと同じなのである。

エンタルピ線の右上側はエンタルピが57.25 kJ/㎏よりも高くなる、省エネゾーンであり、左下側はエンタルピが57.25 kJ/㎏よりも低くなる、増エネゾーンである。

30℃40%と26℃65%の不快指数を比較すれば、不快指数が高い方が増エネになり、不快指数が低い方が省エネになるという、逆転現象が起きることがあり得ると分かるだろう。

これならば不快指数が低くて省エネになるほうが良いに決まっている。

25、目指す温湿度

グラフ-3にある①の室内温湿度26℃45%で不快指数72.5、エンタルピ50.17 kJ/㎏で冷房しているビルは多いのではないだろうか。このようなビルが省エネを行うために室内温度を上げるにしても、②の29℃45%で不快指数76.3、エンタルピ57.94 kJ/㎏にできるだろうか。

温度だけを上げて省エネを行おうとしても、3℃上げることは難しいだろう。

③の26℃59%で不快指数74.1、エンタルピ57.79kJ/㎏ならばどうだろうか。②と同等の冷房エネルギーであるが、これならば実行可能だろう。無理をして室温を上げ不快指数76.3にするよりは、この方が現実的である。

グラフ-3 不快指数冷房を目指す方向

②も③もエンタルピは殆ど同じなのに、①の位置から上を目指すか、右横を目指すかで大きな違いとなるのだ。

26、エンタルピ線上にある2点の比較

②と③、この二つの点を比較すると、29℃45%はエンタルピ57.94 kJ/㎏、26℃59%はエンタルピ57.79kJ/㎏、殆ど同じエンタルピである。

グラフ-3をみればこの二点は、基準となるエンタルピ線上にある。このエンタルピ線上はどの位置でも同じエンタルピになるので、冷房による冷熱使用量は同じである。

エンタルピ線は不快指数線とは角度が違うが、不快指数線が平行になるのと同様に、数値の違うエンタルピ線どうしは平行になるので、目指すエンタルピがあれば、グラフ-3のエンタルピ線と平行になるように破線を追加すればよい。

27℃63%ならば不快指数76でエンタルピ63.12 kJ/㎏である。これならば29℃45%で冷房するよりも不快指数が低く、エンタルピが高いので、快適性と省エネの両立ができる。

27、目指す方向

皆様のビルはこのグラフ-3ではどの位置なのか、印をつけていただきたい。

そして、少しでも省エネを目指すならば、グラフ-3の現在の位置から真上を目指して温度を上げるのではなく、室温が28℃ならば真横を、28℃以下ならば28℃を越さない範囲で右上を目指せばよい。

温度と湿度の両方が低いビルならば、エンタルピ線と直角方向に右上を目指していけば、効率のよい不快指数冷房ができるだろう。

温度を上げることができないビルでも、湿度が50%以下のビルは多いだろう。このようなビルならば湿度だけをあげる余裕があるので、温度を上げる代わりに真横を目指していけばよい。

不快指数冷房はこのように湿度を上げることを基本として、室内のエンタルピを上げながら不快指数をできるだけ維持するテクニックであり、現在よりも快適性を目指すものではない。

28、温度と湿度の正確性

モニター画面で各室内センサーの温湿度を見ることができるビルもあるが、壁面のセンサーは壁の温度の影響で、夏は高めに冬は低めに表示されることがある。当然に温度との相対湿度である湿度表示も当てにはならないので、モニター画面の温湿度を100%信じてはならない。

私自身、デジタル式の温度計や温湿度計を6台使っているが、どれひとつとして同じ温度ではなく、温度が比較的近い値を示している温湿度計であっても湿度が10%も違っていたりする。

夏は高めに出ていた温度が冬になると低めに出るなどの逆転もあるから、どの温湿度計を信じてよいのか分からなくなる。

空気環境測定で使っている測定機器も感度が悪く、正確な温湿度を表示するまでには時間がかかるので、短時間で測定した場合などの数値は信頼性に欠ける。アスマン通風乾湿計も温度が安定するには時間がかかり、湿球のガーゼの湿り具合でも湿球温度が変わってくることを経験した方は多いだろう。

どのような温湿度計を信じればよいのかを経験的に言わせていただくならば、感度が良いものがよいだろう。感度の悪い温湿度計ほど、体感的でも分かるほどの誤差があるからだ。

1台の温湿度計を決めて、その温湿度を基準に不快指数冷房をおこなうことを推奨する。

ビルの省エネ指南書(28)

空調機のチューニングポイント〔其の10〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

空調のチューニングポイント

不快指数冷房(5

16、湿度のコントロール

冷房とは温度を下げるものなのか、空気のエネルギーを下げるものなのかを考えたときに、現在の空調システムは温度を基準で作動しているために、冷房とは温度を下げるものであり、湿度までコントロールできるのは恒温恒湿などの特殊な部屋だけである。それならば現在の空調システムのまま、湿度をコントロールするにはどのような方法があるのだろうか。

湿度のコントロールには次の方法がある。

(1)加湿をして湿度を上げる

(2)除湿をして湿度を下げる

(3)除湿をしないようにして湿度を維持する。

このうちの(1)は暖房時が主であり、(2)は冷房時の結果として行なわれていることである。

(3)は聞いたこともない湿度のコントロールだろう。夏季に出来るだけ除湿をしない冷房をするための湿度コントロールなのである。

湿度をできるだけ下げずに冷房ができたときに初めて不快指数冷房が可能となるので、この、(3)の方法で湿度をコントロールできるようにならなければならない。

17、冷房時の加湿

室内の湿度が低いときに室内湿度高くするには加湿という方法がある。ビルの空調機ならば加湿器が備えられているだろう。しかし、いくら湿度を上げるためとはいえ、真夏の冷房時に加湿は行わないだろう。外気湿度の高い夏季は空調機の加湿器で加湿しようとしても、水の蒸発効率が悪く、蒸発しなかった水はそのまま排水されてしまうために、無駄な水となってしまう。

むしろ空調機で加湿をするよりも、冷風扇を室内で使って加湿をしたほうが効果的である。

冷風扇ならば水を循環させて使うために、蒸発しなかった水は蒸発するまで何度でも使うことができるので、無駄な水は一滴もないからだ。

冷房で室内が乾燥しているならば、水もよく蒸発して、気化熱により温度を下げる効果も期待できるだろう。

18、(3)の湿度コントロール

夏季に室内湿度を高く保つには、前述の加湿器や冷風扇を用いる方法があるが、できるだけ除湿量を少なくするという方法もある。

外気の湿度が高いのだから、除湿したり加湿したりするのではなく、除湿しなければ室内の湿度が高く維持できるはずだ。

ビルでは空調機を使ってのセントラル方式や各種エアコンを使っての局所式で冷房をおこなっている。

水を冷媒としている空調機と、ガスを冷媒として使うエアコンでは冷媒の温度が違ってくるので、空調機とエアコンに分けて、湿度のコントロール方法を考えてみたい。

19、空調機での(3)の湿度コントロール

空調機の場合は循環する冷水温度に余裕をなくすことが一番である。

冷水出口温度をできるだけ高くすれば、自然と除湿量が減ってくるので分かりやすい。しかしあまり冷水出口温度を高くしすぎると、冷房条件の悪い空調区画の冷房に支障が出てくることがある。配管が熱源機械室から系統別に分かれていれば、距離的に遠くにある系統の空調機に冷水が流れ難くなるからだ。

配管方式がダイレクトリターン方式かリバースリターン方式かでも違ってくる。

リバースリターン方式であれば同一系統の空調機に流れる冷水量は等しいのだが、ダイレクトリターン方式の場合は二次ポンプの往ヘッダから近い空調機ほど水が流れやすいので、距離的に遠くにある空調機には冷水が流れ難くなる。

ダイレクトリターン方式で距離的に遠くにある系統の最上階の空調機が最も冷房条件の悪い空調区画となるだろう。最上階には熱が上昇しやすく、屋上からの熱の影響もあるので、冷房条件としては最悪だ。この区画の空調機を基準として冷水温度と流量を決めていけばよいだろう。

20、エアコンでの(3)の湿度コントロール

エアコンの場合はガスを冷媒として冷房しているので、冷水のように温度を変えることができない。ガスの温度は冷水よりも温度が低いので除湿量が増えることは仕方がなく、不快指数冷房は無理だと思われるだろう。

ここでコンピューター室の実例を紹介したい。

コンピューター室はパッケージエアコンで冷房をおこなっている。室温は22℃~24℃の場合が多い。真夏にこれだけ冷やせばさぞかし除湿量が多いと思われるかもしれないが、多くても1秒に1滴程度のドレンがある程度である。排水口が完全に乾いて、ドレンが全くなかったようなエアコンさえもある。

一般家庭の6畳用エアコンでも糸を引くようにドレンが流れ落ちてくるのに、広いコンピューター室の大きなエアコンが一般家庭用の小型エアコンよりもはるかに少ない除湿量なのは何故であろうか。

コンピューター室は温度を下げるために過度の冷房をした結果、湿度が下がってしまっているから除湿量が少ないと思われるかもしれないが、意外に湿度が高く70%前後はあるのだ。

コンピューター室は一般的な事務室よりも冷房負荷が多いので、常時コンプレッサーは動いており、湿度が70%もあればかなりのドレンがあってもおかしくはないのだが、相対湿度だから高くなるとしても、これだけ湿度が高いのに除湿量が少ないのは考えられない。

コンピューター室でおこなわれていることを、一般室でおこなうことができれば、除湿量を減らす不快指数冷房のヒントになるはずだ。

21、コンピューター室の湿度

コンピューター室のエアコンが何故除湿しないのか、私の知っている限りのコンピューター室での冷房状況を考えてみることにする。

第一番目の特徴は必要以上のエアコン台数を運転していることだ。

コンピューター室には故障時も考えて多めのエアコンが設置されている。多めに運転していれば1台が突然に故障しても冷房に支障はないが、多めのエアコンを運転するということは冷房負荷が分散するので、エアコンがON・OFF制御であればコンプレッサーが停まる時間が増える。

コンプレッサーが停まっても送風ファンは常時動いているので、冷却器に付着している結露がドレンとして流れるよりも先に、ファンの風により蒸発して室内に戻ってしまうようだ。

インバーターによる冷房能力を制御しているエアコンの場合は、運転台数が多いほど1台あたりの冷房負荷が減る。コンプレッサーは低回転での運転となり、冷却器の温度が上がれば冷却器に付着する結露自体が少なくなり、直ぐにファンの風で蒸発して、ドレンとなる量は殆どなくなってしまう。

このようにエアコン1台あたりの冷房負荷が少ないのに、送風ファンの風量が多いことが、除湿量が少ない原因とするならば、次の2点が除湿量を減らすポイントとなる。

○     室内機1台あたりの冷房負荷が少ない。

○     送風ファンの風量が多い

 

22、マルチエアコン

マルチエアコンで冷房しているビルも多い。

室外機が1台で室内機が複数台あれば、節電と思って室内機の運転台数を少なくすれば、運転中の室内機に冷房負荷が集中して除湿量が増える。これが普通のビルであろう。

室内機の運転台数を多くすれば、冷房負荷が分散して除湿が減る。風量は自動にしている場合が多いようだが、強風にして結露の蒸発を促す。

このようにして節電だと思っていることの逆をおこなえば室内の湿度も上がるだろう。

その他にもブラインドの積極的利用や必要以上の排気を減らすなどして、冷房負荷を減らすことも除湿量を減らすことになるので、不快指数冷房には大切なポイントである。

ビルの省エネ指南書(27)

空調機のチューニングポイント〔其の9〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

不快指数冷房(4

12、不快指数とエンタルピ 

不快指数を75以上に維持するだけでは快適性と省エネが両立できることにはならない。

ならば不快指数75以上にするには何℃、何%がよいのだろうか。ここが不快指数冷房の最も重要ポイントである。そのためにはエンタルピも同時に考える必要があるからだ。

6月号の表-3を見れば不快指数が同じ75でもエンタルピが全て違うことが分かるだろう。

28.0℃45%の場合が55.26 kJ/㎏で、26.5℃60%の場合が59.84 kJ/㎏となっている。

冷房はエンタルピを下げるものだと考えれば、エンタルピが59.84 kJ/㎏と高くなっている26.5℃60%の方が、不快指数は同じ75なのだから、エネルギーを使わずに冷房が出来ているといえるだろう。

13、表―16月号)のグラフ化

不快指数とエンタルピの関係は6月号の表-1をグラフ化することで分かりやすくなる。

 

グラフ-1 不快指数とエンタルピ

グラフ-1の実線が不快指数で破線がエンタルピを表している。

表―1よりも範囲が広くなって、温度は下に24℃まで、湿度は右に70%までひろがっている。

ここまで範囲を広げると不快指数とエンタルピの関係が分かりやすくなるだろう。

このグラフは28℃、45%、不快指数75、エンタルピ55.26 kJ/㎏を基準としたグラフである。

表-1と対比しながら見て欲しい。

14、グラフ―1の説明

実線上はどの位置でも不快指数75であり、破線上はエンタルピ55.26 kJ/㎏である。

不快指数75を基準とすれば、この実線よりも右上の範囲は不快指数が75より上となるので不快となり、左下の範囲は不快指数が75より下となるので快適となる。

エンタルピ55.26 kJ/㎏を基準とすれば、この破線よりも右上の範囲はエンタルピ55.26 kJ/㎏より上となるので省エネとなり、左下の範囲はエンタルピ55.26 kJ/㎏より下となるので増エネとなる。

エンタルピを基準とした省エネと増エネの関係を間違わないように気を付けたい。室内温度を高くして省エネを行うという考え方と同じように、室内のエンタルピを高く保ったほうが省エネになるのだ。

ここで、グラフ-1の実線と破線で挟まれている範囲を考えて欲しい。快適になる範囲と省エネになる範囲が重なっていることが分かる。

この範囲内ならば28℃45%で冷房するよりも快適性と省エネが両立できるのだ。

15、快適性と省エネ

表-1によればエンタルピ的には28℃45%も25℃60%も大差のないエンタルピであるが不快指数は75.0と72.8で快適性が大きく違ってくるので、同じ冷熱量で快適性を求めるならばこの方が得である。 

不快指数的には28℃45%も26.5℃60%も大差のない不快指数であるがエンタルピは55.26 kJ/㎏と59.84 kJ/㎏で省エネ性が大きく違ってくるので、同じ快適性を維持しながら省エネを求めるならばこの方が得である。

これはあくまでも28℃45%を基準とした比較であるが、温度・湿度が違っても、そのポイントを基準とすれば考え方は同じだ。

ビルの省エネ指南書(26)

空調機のチューニングポイント〔其の8〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

不快指数冷房(3

9、暖房時の不快指数
 この不快指数は冷房時に限ったものではなく、暖房時においても同様である。
 普通は加湿をして室内湿度を40%に保っていても、雨が降っている日は室内湿度が40%以上になることもある。このような日は暖かいと感じたことがあるのではないだろうか。これは室内のエンタルピが上がっているからであり、不快指数も上がっているからである。しかし暖房時は室温が低いので不快指数が上がっても不快になる訳ではなく、乾燥状態のビル内湿度が適度に上がるので快適になるだろう。冷房の不快指数が、暖房では温度を上下逆にした不快指数となってしまうのだ。
 冬季の雨天時は外気導入量を増やして外気湿度を暖房に利用することも省エネ対策として考えてみたい。
 冬期は外気温度が低いので、外気負荷を減らすために、外気導入量を減らしているビルも多い。湿度が低いために室内でわざわざ加湿をおこなって、加湿が暖房負荷となっていることもあるだろう。このような場合は外気をエンタルピとして考えてみればよい。雨の日ならば湿度の高い外気を導入するほうが省エネになることもある。外気の温度が低くても湿度が高ければエンタルピとしては高くなるので、温度の低い空気で外気暖房をするということもあり得るのだ。
 冬期だから外気を入れないのではなく、エンタルピを考えながら、導入量のチューニングを考えるべきであろう。

10、不快指数75以上
 
不快指数は温度と湿度で決まるものであるが、温度と湿度で不快指数が決まるものではない。
 同様にエンタルピも温度と湿度で決まるものであるが、温度と湿度でエンタルピが決まるものではない。
 それでは冷房時の不快指数はどのくらいがよいのかを表-1【温度・湿度・不快指数・エンタルピ】を見ながら考えてみたい。
 一般的には不快指数75を超えると不快に感じる人が多くなるので、不快指数75がビルの空調としては丁度良い目安になるだろう。目標としては75以上、できれば76を推奨したい。
 温度が28℃の時に不快数が75となるには、湿度がいくらになればよいのかを計算していただきたい。
湿度が45%になるだろう。

75=0.81×28+0.01×45(0.99×28-14.3)+46.3

計算が複雑だがこのようになる。

湿度に45を入れれば式が成り立つのだ。

表-1でも確認ができる。

11、不快指数の維持
 
それでは不快指数75は温度が28℃で湿度が45%の時だけなのかというと、それだけではない。不快指数の計算式を見ても分かるように、不快指数の計算には温度と湿度が必要なのだが、不快指数では温度と湿度は計算できないのだ。
 表-1を見ても同じ不快指数が何箇所もあることでそれが分かるだろう。
 表-3にもあるように温度が27.5℃で湿度が50%でも不快指数は75であり、温度が27.0℃で湿度が55%でも不快指数は75なのだ。
 湿度45%で不快指数を70にする時の温度も参考までに計算してみると、24℃となる。
 同じ湿度で不快指数を75から70にすると、温度が28℃から4℃も下がってしまう。
 不快指数1が温度0.8℃に相当するので、不快指数75~76は温度0.8℃以内を維持しなければならないのでかなり難しい。
 外気湿度も毎日違うだけではなく、夕立でもあれば急激に外気湿度が変化するからだ。
 厳密に不快指数を設定しても維持することが難しいのならば、最低でも75にするというくらいでよいだろう。76を中心として75~77の範囲ならば維持もできるだろう。

ビルの省エネ指南書(25)

空調機のチューニングポイント〔其の7〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

不快指数冷房(2

5、表-1【温度・湿度・不快指数・エンタルピ】 

表-1【温度・湿度・不快指数・エンタルピ】は縦軸が温度で28℃から25℃まで0.1℃毎に、横軸が湿度で45%から60%まで1%毎の表である。

実際の空調では大体この範囲で納まるはずである。

各温度と湿度の交点は、上段が不快指数で下段がエンタルピである。

例えば28.0℃・45%の場合は不快指数が75でエンタルピが55.26kJ/㎏になる。

6、温度と湿度 

冷房では温度を設定するだけの温度制御が一般的であり、ビルの空調機でも家庭のエアコンでも同様である。これで温度は維持できるかもしれないが、湿度はどうであろうか。外気の湿度は常に変化しており、雨が降れば外気湿度が100%になってもおかしくはない。一方で外気が乾燥している日もある。これだけ外気湿度が変化すれば、換気のために外気を導入している室内の湿度が変化しないはずはない。つまり室内温度が一定であっても、室内湿度は常に変化していることになる。

室内温度が28℃だったとして、室内湿度が変化すれば室内空気環境はどう変わるのだろうか。

表-1の数値により作成したのが表-2である。

温度℃ 湿度% 不快指数 エンタルピkJ/㎏(DA)
28.0 45 75.0 55.26
28.0 50 75.7 58.33
28.0 55 76.4 61.42
28.0 60 77.0 64.51

表-2 温度28℃の場合

7、温度と不快指数 

表-2によれば温度が28℃で一定であっても、湿度が変われば不快指数が変わることが分かるだろう。これではいくら温度を一定に保っても、不快指数をみれば分かるように、体感温度が常に変わっていることになる。

なぜ不快指数が変わるのかといえば、空気のエンタルピが変わるからである。

エンタルピは温度だけではなく湿度によっても変わるために、いくら温度だけを28℃に保っても不快指数が一定にはならないのだ。

ビル内の方達は不快指数が常時変化している室内で働いていることになるのだが、温度が一定ならば不快指数まで気が付くこともなく、「今日は暑いな」と思うことがあっても我慢をするだけだろう。

8、エンタルピ〔kJ/㎏(DA)〕 

表-2にはエンタルピも記載している。

温度と湿度により不快指数を計算することはすでに説明したが、このエンタルピも温度と湿度により計算して得られる。

同じように計算するものであっても、計算的には不快指数とエンタルピは全く関係のないものであって、不快指数とエンタルピが一致していないことに注目したい。

表-3は不快指数を75とした場合の表である。 

26.5℃の場合は近似値としている。

温度℃ 湿度% 不快指数 エンタルピkJ/㎏(DA)
28.0 45 75.0 55.26
27.5 50 75.0 56.94
27.0 55 75.0 58.46
26.5 60 74.9 59.84

表-3 不快指数75の場合

不快指数が同じであってもエンタルピは同じではないことが分かるだろう。

この不快指数とエンタルピの違いを利用するのが不快指数冷房のポイントである。

H24.6月号ビルメンFUKUOKA(2)

ビルの省エネ指南書(24)

空調機のチューニングポイント〔其の6〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

不快指数冷房(1)
1、冷房とは
冷房とは温度を下げることだと思っている人が多いのではないか。
しかしここで、冷房とは温度を下げることではなく、空気のエネルギー量を下げることだと思うように頭を切り替えてはどうだろうか。そうすれば新しい冷房の仕方が見えてくるだろう。
この空気のエネルギーがエンタルピである。
エンタルピは温度だけではなく湿度にも関係してくるので、湿度のコントロールが重要となる。
不快指数冷房は温度と湿度と不快指数とエンタルピを総合的に考え、エンタルピをできるだけ下げないようにしながら、不快指数を下げるように温度と湿度をコントロールして、省エネと快適性を両立できるようにすることがポイントなのだ。温度だけを基準にする冷房ではないのが、不快指数冷房の特徴である。
2、湿度制御
一般的な空調機ならば冷房時は温度を制御するだけで湿度までは制御していないだろう。冷房で湿度を制御するのは、電算室や保存庫などの恒温恒湿の部屋ぐらいであり、居室よりも低い温度の場所であることが多いだろう。
暖房時ならば加湿をして湿度を維持するということも可能である。設定湿度になるまで加湿を続ければよいのだが、外気導入量が多くて外気が乾燥しているとなかなか設定湿度にならないことがある。特に温度と湿度の設定値が高い場合はそうだろう。温度が高いと相対湿度が低くなり、湿度の設定値までが高いと、絶対湿度をかなり高めなければならなくなるので、いくら加湿をしても追いつかないのだ。
湿度が追いつかないのならば室温を上げるように自動制御できれば室内空気のエンタルピは保てるが、そのような温度制御ができる空調機はないだろう。よって室内は設定湿度よりも低い湿度になり、室内エンタルピも一定に保つのは難しくなる。
冷房の場合は暖房とは逆に除湿となるので、除湿量をコントロールするのがさらに難しい。
暖房のように温度と湿度を個別に制御できるならばまだやりようがあるが、冷房の場合は温度の制御だけで、制御をすることができない湿度まで制御しなければならないからだ。
3、不快指数と省エネ
冷房温度は28℃にするようにといわれているが、28℃では暑いので湿度を下げて快適にするというビルもあるだろう。つまり温度を下げる代わりに湿度を下げて快適性を維持するという方法である。果たしてこの方法が省エネになるのかを、省エネの観点から考えてみたい。
冷房するということは除湿するということでもあるので、湿度を下げることはできるだろう。
しかし温度を28℃に保ったまま湿度を下げたときのエンタルピはかなり低くなる。冷房が空気のエネルギーを下げることだとすれば、エンタルピが低くなるということは冷房のエネルギーを多く使うことにもなる。湿度を下げるだけでもエンタルピが下がるので、快適にはなっても省エネにはならないのだ。
4、不快指数の計算方法
不快指数とは体感的な温度を数値にしたもので、計算方法が何通りかある。
空気環境測定時に湿球温度を測定しているのならばこの式を使えば計算が簡単だ。

不快指数=0.72×(乾球温度+湿球温度)+40.6

相対湿度しか分からない時は、少し計算が長くなるが下の式のどちらかを使えばよい。

不快指数=0.81×温度+0.01×相対湿度(0.99×温度-14.3)+46.3

不快指数=1.8×温度-0.55(1-相対湿度/100) ×(1.8×温度-26)+32

ビルの省エネ指南書(23)

空調機のチューニングポイント〔其の5〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

加湿(4)

9、滴下式

滴下式とは写真―4のように上から滴下する水が膜に浸透しながら蒸発する加湿方式だ。

 

写真―4 空調機の加湿用浸透膜

あるビルで加湿運転している空調機の浸透膜が見えるように点検口を開けて確認したところ、かなりの量の水が蒸発せずに浸透膜下部より落下して排水口に流れていた。

 

写真―5 空調機内部の排水口

写真―5のように排水口の周囲が濡れているのが蒸発しなかった水であるが、多分この水は暖房給気温度に近い水温であろう。

写真―6の加湿用給水栓を調べたところ全閉から全開までが9回転で殆ど全開の位置に調整されていた。これを全閉にしてから徐々に開いていったところ、半回転開けても水が出なかったが、これは水栓の遊び部分であろう。それから1/4回転開けると水が流れてきた。

全閉から僅か3/4回転開けただけであるが、これだけの給水量でも水は完全に蒸発せずに浸透膜下部から垂れて排水されていた。1/4回転開ではこれ以上閉める訳にもいかず、外気湿度によっても蒸発量は変わってくるので、この程度の排水量は仕方がない。

 

写真―6 加湿用給水栓

給水量の違いを実感するために家庭の水栓を1/4開けたときと全開にしたときの水量を比較すれば、この給水量の差がどれだけの日使用量になるのかは想像できるだろう。

給水栓全開での無駄な垂れ流し状態が見えているならば誰でも無駄だと思って給水栓を絞るだろうが、運転している空調機の加湿状況は空調機に点検口がなければ見ることはない。

停止中となると加湿も停止しているため気が付くこともないのである。

10、4台の加湿チューニング効果

11台ある空調機の内4台が滴下式である。この4台の加湿用給水栓を調整したが、室内湿度も以前と変わっておらず、給水が多ければよい訳ではないことが実証できた。滴下式でも少ない給水量で湿度は維持できるのだ。

11・12月は前年比で上水使用量が6.9%も増えていたが、加湿チューニング後の2・3月は12.6%も減り、かなりの節水効果があった。熱は前年度の2・3月と比較して4%減であった。前年よりもかなり寒い年であったが、これも加湿チューニング効果なのであろう。

ビルの省エネ指南書(22)

空調機のチューニングポイント〔其の4〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

加湿(3)

7、総合図書館の上水使用量

表-1は総合図書館における平成10年度と平成20年度の上水使用量を比較したものだ。

館内湿度は40%ぎりぎりを維持している。

1・2月は常時加湿をしている時期であり、7・8月は加湿することはないため、比較に使用するには最適な時期である。

地域冷暖房のため冷却塔はなく、トイレは中水を使っている。加湿以外での上水使用量は、図書館利用者が直接使うものが殆どでなので、来館者数により増減する。

  平成10年度 平成20年度
7・8月使用量 520㎥ 453㎥
7・8月開館日数 52日 52日
7・8月の日使用量 10.0㎥/日 8.71㎥/日
1・2月使用量 1,196㎥ 495㎥
1・2月開館日数 46日 46日
1・2月の日使用量 26.0㎥/日 10.76㎥/日
日使用量差 16.0㎥/日 2.05㎥/日

表-1 上水使用量

この表によると平成10年度と平成20年度の、加湿をおこなっていない7・8月の上水使用量は520㎥と453㎥で13%減となっているが、加湿期の1・2月を比べてみると平成10年度の1,196m3に対して平成20年度は495m3と半分以下にまで減っている。開館日当りの日使用量差を比較すると16 m3/日-2.05 m3/日=14.05m3/日となり、こんなにも減っているのだ。この上水使用量の差が全て加湿によるものだと断言はできないが、加湿チューニングが大きな要因であることは間違いないはずだ。

冬季と夏季の日使用量の差が加湿に使用している水量だとすれば、平成10年度はこれだけの水が蒸発せずに空調機内で温熱を奪い温水となって排水されていたことになる。この数値をみればいかに効率よく水を蒸発させることが大切なのかが分かるだろう。

8、疑問点

ただし表-1の数値には疑問点があるので説明したい。

7・8月は学校が夏休み期間中であり来館者が最も多くなる時期である。それに比べて1・2月は来館者が多いとはいえない時期である。

来館者が多ければ水の使用量が増える訳だから、7・8月のほうが1・2月よりも多くなるはずである。よって、日使用量の少ない1・2月と日使用量の多い7・8月の数値を比較することは正確とはいえない。よって7・8月の日使用量を少なくするか1・2月の日使用量を多めにして計算するほうが正確であろう。

次に開館日の日数で割ることにも若干の疑問が残る。休館日であっても一部の空調機は運転しており、十数名の人が居るのであるから、開館日より少ないとはいえ水の使用量はゼロではない。しかし条件的には1・2月も7・8月も同じであり、休館日の使用量は開館日と比べて極端に少ないため無視することにした。

これらの疑問点があることを考慮して計算すれば、平成10年度と平成20年度の日使用量差は、表-1での計算値14.05m3/日よりも増えることになり、15m3/日以上になるのではないかと推測する。つまり加湿チューニングをおこなう以前は15m3/日以上もの温水を無駄に捨てていた可能性があるのだ。

ビルの規模や用途、加湿装置の種類、加湿状況、設定温度・湿度によっても違ってくるので、あくまでも参考の数値と思っていただきたいが、もし60℃の熱コイルにスプレーしても蒸発しなかった、これだけの量の温水が捨てられているとすれば、どれだけの熱エネルギーを捨てていることになるのだろうか。

気が付かないままに、これが現実となっているビルがないとは限らない。

ビルの省エネ指南書(21)

空調機のチューニングポイント〔其の3〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

加湿(2)

3、蒸発する水、しない水

加湿は主にスプレー式と滴下式と蒸気式の三方式であるが、殆どのビルはスプレー式と滴下式だろう。この方式は水が蒸発することにより気化熱が温熱を奪うので暖房負荷になるが、暖房負荷になるのは気化熱だけではないのだ。確かに水の蒸発だけを考えれば気化熱だけかもしれないが、蒸発していない水のことも考慮しなければならない。加湿をおこなっている水には蒸発する水と蒸発しない水があり、その両方が暖房負荷になっているのだから、蒸発しない水での省エネをおこなえば、湿度を維持しながらでも節水と省エネが可能なのだ。

4、暖房時の加湿

空調機内部でスプレー式加湿をおこなっている場合、このスプレーされた水がどれだけ蒸発しているか考えたことがあるだろうか。

殆ど蒸発していないのが実情である。

暖房時の熱コイルに60℃の温水を流しているビルもあるが、この60℃の熱コイルにかかった水が蒸発せずに排水されているとしたら、その排水量と排水温度がどのくらいなのかを想像してほしい。これが無駄に捨てられている水と熱エネルギーなのだ。

5、排水温度

総合図書館で暖房時の加湿をおこなっていた日のことであったが、スプレーされた水が蒸発せずに排水されていたのを見て温度を測ってみると給水温度以上に高くなっていることに気が付いた。蒸発しなかった水が熱コイルから熱を奪って排水されることは当然のことであるが、これに今まで気が付かなかった。簡単すぎるが故に盲点となっていたのだ。

総合図書館では暖房時の熱コイルに流れる温水温度は30℃以下と非常に低い温度のために、排水される水の温度もそれほど高くはないが、温水温度が高くなればなるほど排水温度が高くなるので、それだけ捨てる熱も増えるだろう。低い温水温度で暖房が可能ならば、それだけ捨てる熱も減るだろう。

6、噴霧ヘッド

スプレーが熱コイルにかかると、温熱を奪うだけではなく、水のシリカ分が熱コイルのフィンに付着して熱交換効率が落ちてしまうため、噴霧ヘッドの角度を調整してスプレーが熱コイルにかからないようにすればよい。シリカの付着がなくなりフィンの清掃も楽になる。

ヘッドの間隔も隣接したヘッドが近過ぎると、スプレー同士がぶつかり合った結果、スプレーの粒子が大きくなり、蒸発効率が落ちるので、スプレー間の距離を開けるためにヘッドを取り外したり、ヘッドを塞いだりしながらスプレー同士がぶつからないようにしたい。スプレーしているヘッドの数が減れば、ヘッド1個当たりの水圧が上がり、水の粒子が細かくなって蒸発効率がさらに良くなるだろう。

写真―1 空調機内部の噴霧ヘッド

総合図書館では写真―1のように14個も噴霧ヘッドがあった空調機を、僅か4個のヘッドに減らしてスプレーしてみたが、暖房時の加湿の立ち上がりも室内湿度も以前と変わっていない。加湿は給水量ではなく蒸発量であり、効率的に蒸発させれば、より少ない給水量で加湿ができることを実証できた。実際におこなえば節水効果も非常に大きく、無駄に捨てている水がどれだけ多いかが実感できるだろう。

ビルの省エネ指南書(20)

空調機のチューニングポイント〔其の2〕

加湿(1)

1、加湿と省エネ

暖房時の加湿は水の気化熱が温度を下げる要因となって暖房負荷になるため、加湿をしない方が省エネになると思われている方も多いだろう。しかし省エネのためだからといって、加湿をおこなわなければビル内の湿度は40%を維持できなくなる。たとえ省エネのためであっても空気環境を適正に維持できないようなことがあってはならないので、ビルメンテナンスに携わる者としては、加湿をおこないながらも暖房負荷の削減に努め、空気環境も基準値を保てるように努力する必要がある。

外気条件が同じで室内湿度を一定に維持するならば水の蒸発量は同じである。水の蒸発量が同じならば気化熱量も同じになる。気化熱量が同じならば暖房負荷も同じである。よって湿度設定を低くする以外に暖房負荷を減らすことはできないと思っているかもしれないが、この考え方には間違いがある。ここがポイントなのだ。

2、 加湿方式

ビルの加湿方式としては主に次のような方式が用いられている。

写真-1 スプレー式

スプレー式は写真-1のように加圧ポンプを使って圧力を上げ、ノズルより水を噴霧して蒸発させる方式である。この方式はノズルが詰まることであるので、定期的な分解整備が必要となる。チューニング次第では最も大きな省エネと節水が期待できる方式である。

写真-2 滴下式(浸透膜式)

滴下式(浸透膜式)は写真-2のような浸透膜の上部より水を滴下させながら、浸透膜を通過する空気により蒸発させる方式である。スプレー式に次いで省エネ効果が期待できる方式であり、チューニングも簡単だ。

写真-3 蒸気式

写真-3の右下にあるのが蒸気加湿用のスチーム配管である。蒸気式の加湿はボイラー等の熱源があるビルに限られるため、ホテルや病院で主に採用されている。

空調機内で水を気化させるわけではないので、蒸気加湿は加熱となる。加湿が過熱の原因となるので、温水を使用した暖房では循環温水の温度と流量を極力抑えた暖房を行いたい。湿度設定が高過ぎると蒸気加湿だけで室温が上がり、冬なのに外気冷房しなければならなくなる場合もあるので注意が必要だ。

ビルの省エネ指南書(19)

空調機のチューニングポイント〔其の1〕

ウォーミングアップ

1、 ウォーミングアップの意味

ウォーミングアップは空調機運転開始時にOA・EAのモーターダンパーが開くのを遅らせて外気負荷を減らすものだ。暖房時ではスプレー式や滴下式の加湿も同様に遅らせて、空調の立ち上がりを早くすることができる。

このようなウォーミングアップを総合図書館では全くおこなっていない。

排気ファンがある以上は、ビルは負圧になるものだ。ウォーミングアップをおこなって空調機から外気を入れないようにしても、負圧のビルは必ず外気が侵入するので、ウォーミングアップをしても意味がない。外気負荷を減らしているつもりが、外気が侵入して、実際は外気負荷が全く減っていないということもあり得るのだ。空調機からのOAも侵入外気も同じ外気である。どうせ入って来る外気ならば、負圧にならない程度に空調機経由で入れた方が、フィルターを通って来るだけましである。

2、 必要な季節

一般的にウォーミングアップが必要なのは夏季よりも冬季である。夏季ならば空調運転開始と同時に外気を入れても、早朝の外気温度はビル内温度よりも低い場合もあり、ウォーミングアップをしないほうが省エネ的にも換気的にもよい場合がある。しかし冬季の早朝外気温度は低いため、ウォーミングアップをおこなわなければ、冷たい外気が入って来て、循環温水温度が上がるまでの間は外気冷房運転状態になってしまう。つまり冬季はウォーミングアップをおこなうほうがよいのだが、外気を入れない代わりに外気が侵入するようではウォーミングアップにならないことは前述した。

3、 総合図書館のウォーミングアップ

総合図書館では全く違った意味でのウォーミングアップをおこなっている。

空調機二方弁のバイパスを少し開けて、空調機を停止させたまま二次ポンプだけを動かし、温水だけを循環させているのだ。

空調機を運転しながらでは中々上がらない温水温度も、空調機が停止していれば水温が直ぐに上昇する。水温が上がるまでの間ウォーミングアップ運転するのではなく、最初から水温が上がっているから、従来のウォーミングアップは必要ない。空調機を運転せずに温水だけを循環させることで、配管内の水温を上げると同時に空調機内を暖めることがウォーミングアップとなっているのだ。このようにしておけば空調機運転開始と同時に温風が出るため、従来のように空調機を運転しながらのウォーミングアップの時間は空調機を停止させて、少しでも運転開始時間を遅らせることができる。

このウォーミングアップをおこなってからは空調機電力と熱の削減になり、冬に外気冷房することもなくなった。

4、ウォーミングアップ時間

地域熱供給ならば24時間熱が供給されているので、二次ポンプを運転しておけばよい。

ボイラーや吸収式冷温水機などの熱源があるビルならば、熱源と循環ポンプだけを運転して、どのくらいの時間で水温が上がるのかを見てから、熱源の起動時間を逆算で決めればよい。

全ての空調機を暖めるのに要する時間は、往還配管の還水温度が往水温度と変らない温度になるまでが目安で、これでウォーミングアップ完了である。この状態になってから空調機を運転すれば即暖房開始である。

5、ウォーミングアップの目的と注意点

このウォーミングアップの目的は熱源と空調機の運転開始を少しでも遅くすることにある。これを冷房時に行えば空調機運転と同時に冷房開始となるので、暖房時と同様に空調運転を遅らせることができる。しかしバイパス弁を開けすぎると無駄な冷暖房となることがあるので開度調整には十分な注意が必要だ。

冬季のウォーミングアップは必要であるが、一般的なウォーミングアップを行うよりも、ウォーミングアップ時間そのものを無くすためのウォーミングアップをおこなったほうが省エネになることをぜひ試していただきたい。

ビルの省エネ指南書(18)

窓のチューニングポイント〔其の2〕

ブラインドとカーテン

コンピューター室のように室内温度が低い部屋でブラインドとカーテンを併用した場合の保温効果を前号と同様にして調べてみた。

カーテンはブラインドのように隙間がないために保温効果はあるが、カーテンだけでは色的に日射を吸収する難点もある。そこでブラインドの反射効果とカーテンの保温効果を併用することで相乗効果が期待できるはずだ。

1、ブラインドとカーテンの保温効果
 
写真-1 窓ガラス

 調査したビルのコンピューター室は東側に窓があるが、写真-1のように向かい側直ぐ近くにビルがあるため日射が入る時間は僅かな間だけである。温度測定は平成23年8月9日午後4時頃におこなったので外気温度は高いが、日射の影響は全くない。

2、ブラインドを下ろして完全に閉める
 
写真-2 ブラインド

 写真-2のようにブラインドを下ろしてスラットを完全に閉めた。ブラインドだけでも保温効果があることは前号で実証済みだが、コンピューター室のように室温が低いと、それだけ屋外との温度差が大きくなるので、熱の侵入量も多くなるはずだ。そこで写真-3のようにブラインドの手前に遮光カーテンを床面までの長さで新たに取り付けて、ブラインドとカーテンによる二重の保温効果がどれだけあるかを調べてみた。光を通さない遮光カーテンのほうが通常のカーテンよりも保温効果が高いはずであり、床面までの長さにすることでカーテン下部での隙間もなくなる。

3、ブラインドの手前にカーテンを取付ける
 
写真-3 遮光カーテン

 コンピューター室の温度が22.2℃で、カーテンとブラインドの間の温度が27.7℃で、ブラインドと窓ガラスの間の温度が30.2℃だった。カーテンを挟んでの温度差が大きいのが分かる。

外気温度が33.2℃前後であったので、室内との温度差は11℃である。窓ガラス1枚を挟んでの11℃差と、窓ガラス+ブラインドを挟んでの11℃差と、窓ガラス+ブラインド+遮光カーテンを挟んでの11℃差では当然に保温効果が違うので、屋外からの熱の侵入量も違ってくるはずである。

コンピューター室のように室内温度が低い部屋はブラインドと遮光カーテンを併用した二重の空気層による保温対策を推奨する。

保温の必要がない冬季は、カーテンとブラインドを開けて、窓ガラスで熱交換させるようにしたい。部屋毎・季節毎に設定を変えるのは当然だ。

ビルの省エネ指南書(17)

ビルの省エネ指南書(17)

  窓のチューニングポイント〔其の1

窓とブラインド

  外気温度が33.2℃と高い日に温度測定を行ってみた。天候は晴れたり曇ったりで、常時日射があったわけではない。

センサーは正確性と感度を重視して熱電対センサーを使うことにした。センサー部分が細くて長いのでブラインドの隙間に入りやすく、ブラインド効果が正確に分かるだろう。

1、ブラインド室内側の温度を測定

最初はブラインドが閉まっている状態から測定を開始することにする。

 写真-1 ブラインドを閉めた室内側温度

写真-1は平成238811時台の温度である。28.9℃で少し高めの温度であるが、ブラインドが閉まっているといっても写真のような隙間が多い状態であり、ブラインドの直ぐ手前であることと、部屋の隅であるため冷気が届き難いことも影響して温度が高くなっているようだ。温度よりも温度差を調べることが目的だが、同じように測定しても測定場所や室内温度と気流、屋外条件によっては違う結果になるだろう。

2、ブラインドと窓ガラスの間で測定

先ほどの状態のままで温度センサーをブラインドの隙間から窓ガラス側に入れて、窓ガラスとブラインドの間の温度を測定する。

窓が南向きのため、センサーが直射日光の影響を受けないように、窓枠の陰になる位置にサンサーがくるようにして測定した結果、温度が32.1℃となっており、ブラインド室内側と比べると3.2℃高い温度である。

  写真-2 ブラインドを閉めた裏側で測定

前回測定した時は天候が曇りで外気温度が30.7℃であった。その時は2.7℃の差であったが、外気温度が高くなるほど窓とブラインド間の空気層の温度が高くなるので、室内側との温度差が大きくなっている。

 3、ブラインドを水平にして室内側で測定

今度はブラインドのスラット(slat)を水平にして、十分に時間をとってから測定した。スラットの間から空気が流れ、熱の移動が終わるのを待ってから温度を測定するためである。

  写真-3 ブラインド水平での室内側温度

  写真-3の表示が見難いが28.9℃である。

意外にもブラインドを閉めて測定した結果と同じであった。窓側の熱が室内側へ漏れているはずだが、漏れた熱は室内側の冷房に吸収されて温度が上がるまでにはなっていない。

4、ブラインドを水平にして窓側で測定

  次に、スラットを水平にした状態のままでブラインドと窓ガラスの間の温度を測定した。

水平になったスラットの間からセンサーを入れ、スラットを閉めて測定した時と同じく、窓枠の陰にセンサーがくるようにした。

  写真-4 ブラインドを水平にして窓側で測定

  温度が31.5℃となっておりブラインド室内側と比べると2.6℃高い温度である。スラットを閉めていた時が3.2℃高かったので0.6℃低くなっている。外の景色が完全に見える状態なのに2.6℃の差を保っていることに注目したい。スラットを閉めたほうが窓ガラス面の気流は減るのだが、スラットを水平にするだけでも、ブラインドと窓ガラス間にある空気層の気流を減らす効果があるようだ。これならば外の景色も見えるので開放感があり、明かりが入ってくるため窓側の照明を減らすことも可能だ。

スラットが水平でも窓ガラスとの間に気流がなければ空気層の温度を保ち保温効果があるが、扇風機の風やファンコイルの給気を窓側に向けると水平のスラットでは風を遮ることができず、室内側の空気が窓ガラス側に一気に流れ込み、空気層に気流を作ると保温効果がなくなるので注意が必要である。

5、ブラインドを完全に上げて窓側で測定

ブラインドを完全に上げて、先ほどと同じセンサーの位置にして温度を測定した。

写真-5のように温度が28.8℃である。ブラインドを完全に閉めた時や水平に使用した時の室内側の温度よりも0.1℃低くなっている。

  写真-5 ブラインドを上げて窓側で測定

  ブラインドと窓の間にあった空気層は瞬時に室内空気に吸収されてしまったのだ。ブラインドは日射防止に役立つだけではなく、窓ガラスとの間の気流を抑制することで空気層を作り、空気の移動を遮って保温する効果があることが分かる。

冷暖房時は日射の有無に関係なく、常にブラインドを下げてスラットを水平使用し、日射のある時や終業時には閉めるようにするのが省エネになるようだ。

ブラインドの上げ下げは大変だがスラットの角度調整だけならば簡単である。スラットの水平使用ならばブラインドを上げた場合と明るさも殆ど変らず、見た目も気にならないために、室内環境を変えない簡単な省エネ対策として非常に有効である。

 6、ブラインドを完全に上げて窓の外を測定

最後に窓を少し開けた隙間からセンサーを外に出して測定した。この屋外温度33.2℃の熱の侵入をブラインドで防ぐことができるのだ。

  写真-6 窓の隙間から屋外を測定

ビルの省エネ指南書(16)

ビルの省エネ指南書(16)

ファンコイルのチューニングポイント〔其の2〕

1、ブラインドの効果

ブラインドの効果がどのくらいあるのかを確かめるために、温度を測ってみることにした。

天候は曇りで日射はなし。

測定する窓ガラス面の直ぐ外側の外気温度が30.7℃。

ブラインドを完全に下して閉めた状態で、窓ガラスとブラインドの間が29.9℃。

窓ガラスを挟んで外気温度との差は僅か0.8℃しかなく、外気温度が窓ガラスを通過して入って来ていることが分かる。

ブラインド直ぐ手前の室内温度は27.2℃。

ブラインドを挟んでその差は2.7℃。

閉めたといっても、スラットの間がかなり隙間のある状態でもこれだけの温度差がある。

ブラインド自体の温度を放射温度計で測ると28.8℃で窓側から測っても、室内側から測っても同じであった。スラットは薄い金属なので温度差が出ないのだろう。ブラインドの窓側と室内側の空気温度と比較すると僅かだが窓側に近い温度である。

屋外には気流があり、室内にも気流があるが、窓ガラスとブラインドで挟まれた間には殆ど気流がないために、この空気の層が両者の間で熱を伝えない役目を果たしているようだ。ブラインドは日射を反射するだけではなく保温効果もあるのだ。日射が無くてもブラインドは下しておいたほうが冷房の省エネになるだろう。

2、ファンコイルの給気方向

もしブラインドが無ければどうなるだろうか。屋外にも室内にも気流があるのだから窓ガラス面で熱交換するであろうことは想像できる。特に室内側の気流が大きければ大きいほど熱交換量も増えるだろう。

このような状態の窓にファンコイルの給気を向けると、給気温度が低いために熱交換量がさらに増えるはずだ。

ブラインドは下げるほうがよいが、スラット間に隙間があるため、下げるだけでは不十分であり、風を当てないように注意する必要がある。

窓ガラスは空気を通さないが、ブラインドは隙間から空気を通すからである。

このブラインドに扇風機の風を当てると、窓ガラスとブラインドの間に気流が生じて、窓ガラス手前の空気温度が下がり、その空気が窓ガラスとの間で熱交換することになる。

ファンコイルの給気をブラインドに当てると、室温よりもさらに低い温度の空気が流れて、窓ガラス面で熱交換することになってしまう。

ファンコイルに流れる冷水温度が7℃だと給気温度は10℃以下であろう。給気温度が低ければ低いほど窓ガラスとの温度差が大きくなるため熱交換量も多くなる。このことからも冷水温度をできるだけ上げたほうが、ファンコイルからの給気温度が上がるので、熱交換量が少なくなるだろう。勿論、ファンコイルからの気流を窓に向けないことが一番である。

3、窓ガラスは熱交換器

窓ガラスの屋外側を一次側、室内側を二次側とすると、屋外である一次側の温度も気流も変えることはできない。しかし、窓ガラスが熱交換器ならば、二次側に気流がなければ熱交換しないはずだ。扇風機の風やファンコイルの給気を窓に向けるということは、二次側に気流を作ることになり、外気と熱交換してしまうのだ。

特に日射の当たっている窓の室内側に気流があると最悪である。扇風機の風を当てると暖房をしているのと同じで、室温が上昇するだろう。室内温度の空気を温度の高い窓ガラスに当てるのだから温度が上がって当然である。

ファンコイルからの気流ならば扇風機よりも温度が低いため熱交換量が増えて、全く冷房効果が期待できなくなるだろう。

触らぬ神に祟りなしというが、窓ガラスの温度は自然の外気条件次第である。自然に逆らっても意味がないことなので、窓ガラスには触らないようにすればよい。そのためにもブラインドの有効利用を心がけたい。