ビルの省エネ指南書(10)

空調機のチューニングポイント〔其の1〕

ダンパー

1、 空調機での気圧調整

空調機のあるビルならば、厨房等は別としてビル内への外気導入は空調機でおこなっているのが一般的であり、排気も空調機からが主である。つまり空調機で換気をおこないながらビル内の気圧バランスを調整しているのだ。

空調機本体とその周囲には外気(OA)ダンパー、給気(SA)ダンパー、還気(RA)ダンパー、排気(EA)ダンパーがあり、これらのダンパーで空調区画内の給気・排気を調整しているが、ビル全体としての気圧も積極的に調整したい。空調区画毎に気圧を調整しながら、ビル内全体の気圧バランスを最も省エネになるように調整するのだ。冷暖房時にビル内の気圧バランスがとれてこそ全熱交換機等も有効な省エネ設備となり、正圧となってこそこもった熱気を押し出すことができる。

ビル内でも気圧の変化をつければCO2濃度の低い空気を、濃度の高い空調区画へ導きながら、その区画から気圧を利用した自然排気をおこなうこともできる。冷暖房条件のよい区画の空調機からのOA量を増やすことで、そのOAを空調負荷が多い区画へ導き、外気負荷をバランスよく分散させることもできる。これら全ては空調機のチューニング次第である。

2、 総合図書館の空調機

総合図書館の主要な空調機にはインバーターが導入されておらず、小型の空調機においてはインバーターがあっても一定周波数で利用されている。主な空調機には外気冷房用のバイパスも全熱交換機もなく、SAファンが1台あるだけだ。空調機用のEAファンは余剰ファンとして空調機械室内に別途設置されているが運転していない。本来ならばこの余剰ファンで還気の一部を排出するのだが、還気は室内温度の空気であるため電力を使ってまで捨てるのは勿体ない。排気はトイレに導くか自然排気だけで十分だ。

3、 ダンパー調整

写真―1 空調機ダンパー

給気量は空調機のダンパーで調整するが、SAファンの吐出側ダンパーは全ての空調機において全開にして、給気量調整は吸込側のRAダンパーとOAダンパーで調整している。

吐出側のダンパーを閉めて給気量を調整するよりも、吸込側のダンパーを閉めて調整したほうが、同じ風量ならばSAファンモーターの電流が20%近く下がったからだ。

ダンパーを調整する前には写真―1のように現在の開度に印を付けておき、いつでも元に戻せるようにすることを忘れてはならない。

昔の話になるが外気冷房中にSAがOAよりも温度が1℃上がっていたのをみて不思議に思い原因を調べたことがある。空調機内部の温度をフイルター⇒熱コイル⇒エリミネーター⇒SAファン入口⇒SAファン出口と調べていったところ、SAファン出口で上がっていた。

吐出側のダンパーを閉めると圧損が生じ、ファンと空気の間で摩擦熱が発生しやすくなるためSA温度が上がるのだ。ファンの吐出側は塞がずに吸込側で給気量を調整したほうがSA温度も上がらず電力と熱の省エネになる。

このようにダンパー操作を行うだけで、SA温度を1℃下げることができた空調機もあったが、正確には1℃上がらなかったというべきであろう。冷房には貴重な1℃であった 

写真―1 空調機ダンパー

 

給気量は空調機のダンパーで調整するが、SAファンの吐出側ダンパーは全ての空調機において全開にして、給気量調整は吸込側のRAダンパーとOAダンパーで調整している。

吐出側のダンパーを閉めて給気量を調整するよりも、吸込側のダンパーを閉めて調整したほうが、同じ風量ならばSAファンモーターの電流が20%近く下がったからだ。

ダンパーを調整する前には写真―1のように現在の開度に印を付けておき、いつでも元に戻せるようにすることを忘れてはならない。

昔の話になるが外気冷房中にSAOAよりも温度が1℃上がっていたのをみて不思議に思い原因を調べたことがある。空調機内部の温度をフイルター⇒熱コイル⇒エリミネーター⇒SAファン入口⇒SAファン出口と調べていったところ、SAファン出口で上がっていた。

吐出側のダンパーを閉めると圧損が生じ、ファンと空気の間で摩擦熱が発生しやすくなるためSA温度が上がるのだ。ファンの吐出側は塞がずに吸込側で給気量を調整したほうがSA温度も上がらず電力と熱の省エネになる。

このようにダンパー操作を行うだけで、SA温度を1℃下げることができた空調機もあったが、正確には1℃上がらなかったというべきであろう。冷房には貴重な1℃であった