ビルの省エネ指南書(33)

照明のチューニングポイント〔其の4〕

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

照明のチューニングポイント(4

12、屋外のレフランプ

写真-4の外灯用照明に屋外用のレフランプが使われている。屋外ではあるが雨がかかる場所でもなく、屋内といってもよいような場所である。

このレフランプは150W型120Wが使われているのだが、ランプ切れが3灯ある。1灯だけのランプ切れならば今日切れたということも考えられるが、3灯となるとかなり以前から切れていたことは想像できる。長期間ランプが切れていても問題がない場所ならば、150W型の必要はないとも考えられるので、交換を考えてみることにする。

1日平均12時間以上も点灯している場所なので省エネ効果は大きいだろう。

写真-4 150W型120Wの外灯

 

13、交換ランプの選定

できることならばLEDランプに交換したいのだが、この明るさのLEDランプはまだ製品化されていない。若干暗くなってもよいのならばあるのだが、それでも非常に高価であり、消費電力削減量では投資の回収が困難である。ランプの価格と省エネ効果の両方を考えて、40W型38Wの屋内用レフランプと交換することにした。このような場所ならば屋外用ランプにこだわる必要はない。

消費電力も120Wが38Wになるのだから節電効果もかなり期待できる。

150W型が40W型になるのだから、最初から全部同時に交換するのではなく、1個置きに取り替えて様子をみることにする。150W型の明るさが必要な場所とも思えないが、急いで全部を取り替える必要もない。40W型の屋内用レフランプならば単価も安いため、暗く感じるようならば元に戻しても、それ程無駄な投資にはならない。

14、150W型と40W

写真-5は一番手前が40W型で次が150W型というように1個置きに取り付けて、一番奥が40W型となっている写真である。

写真を見て明るさの違いが分かるだろうか。実際に目で見ても150W型と40W型の違いが分からないのだから、暗くなったことに気が付く人はいないだろう。以前は3灯のランプ切れがあったのだが、今は全てが点灯しているのだから、逆に良くなったといってもよいぐらいである。

誰も気が付くことがなく、誰も不自由を感じることがなければ、これは節約ではなく簡単で効率的な省エネ対策となるだろう。

写真-5 150W型と40W型

次は残りの150W型を全て40W型に取り替え、その次は40W型のランプ切れがあった時に、それをLEDランプに取り替えていけばよい。40W型相当のLEDランプならば価格も安く、消費電力も10W程度なので投資の回収も2~3ヶ月で可能である。実際は写真以外の部分も含めると15灯もあるのだから節電効果はかなり大きくなるはずだ。

ランプ交換は最初から無理をするのではなく、実験のつもりで徐々におこなっていけばよい。

現在のランプの在庫と寿命を考えて、無駄のないように取り替えていくのだ。