ビルの省エネ指南書(11)

空調機のチューニングポイント〔其の2〕

インバーター

1、 ダンパー調整

インバーターが導入されている空調機のダンパー調整も基本的には同様だ。ただ風量調整はインバーターの周波数でおこなうために、SAダンパーは全開、OA・RAダンパーは両者の混合率を考慮しながらの外気量調整用として使えばよい。中間期に外気冷房効果を高めるのならばOAダンパーは全開でRAダンパーを閉めて調整すればよく、冷暖房時ならば逆にOAダンパーを閉めてCO2濃度を考慮した開度調整をおこなえばよい。両方を閉めて調整すると変風量の空調機の場合はインバーターの周波数が上がる可能性があるので、どちらか片方のダンパーは全開としたい。

2、インバーター周波数調整

SAファンとRAファンがインバーターで回転数制御されているにもかかわらずSAダンパーが閉まっている空調機をよく見かけるが、このような場合はダンパーを全開にするだけでは室内への給気量が増え過ぎるので、冷暖房ピーク時でも室内への給気量が今までと変わらない程度にインバーター最高周波数の設定を下げればよい。

風量を変えずにインバーターの周波数を下げることができるのだから、空調的には何等問題はなく、電力の省エネ効果は非常に大きなものとなる。ダンパーを開けることで給気ファンによる圧損も減り、ファンの回転数が低いほどファンと空気間の摩擦熱も減るので、冷熱の省エネともなる。

3、RAファン

RAファンのある空調機の場合は、RAファンは還気のためだけではなく、排気のためにあると考えたい。RAファンのインバーター最高周波数をSAファンよりも低く設定すれば排気量が減り、ビル内の気圧を高めることができる。5Hz程度下げて実験してみればよい。

RAファンを完全に停止させてもよいだろう。

EAダンパーを閉じてOAとRAだけで空調をおこなうのだ。この場合、EAがなければ全熱交換機を運転する意味はないので、全熱交換機がある空調機は全熱交換機を停止させたい。

回転型の全熱交換機であればローターとRAファンのモーターを停止できるので電力の省エネとなる。負圧のビルならば全熱交換機からの排気を停止させても増エネにならないことは指南書の「全熱交換気」で説明している。

RAファンを停止させたときにEAダンパーを閉じなければ、排気ダクトから空気が逆流して空調機に入ってくる。フィルターを通らずに入ってくるので、粉塵が増えることになり、全熱交換器のある空調機ならば、ローターの汚れの原因ともなるので注意したい。

4、SAファン

下の写真は空調機制御盤である。

電流計は左がSAファン、右がRAファン。

下段にあるRA運転の表示ランプが消えて、RA停止のランプが点灯している。RAファンを停止させて、SAファンだけで空調をおこなっているのが、電流計の指針で確認できる。

今まではSAファンとRAファンの2台で還気と給気をおこなっていたのに、SAファン1台にして大丈夫だろうかと思うかもしれないが、外気冷房中はSAファン1台で屋外から吸気して室内へ給気をおこなっているのであるから問題はない。若干インバーター周波数は上がるかもしれないが、ダンパーが閉まっていたときよりも低いはずであり、RAファンが停止しているのであるから、電力の省エネ効果は大きい。 

電流計は左がSAファン、右がRAファン。

下段にあるRA運転の表示ランプが消えて、RA停止のランプが点灯している。RAファンを停止させて、SAファンだけで空調をおこなっているのが、電流計の指針で確認できる。

今まではSAファンとRAファンの2台で還気と給気をおこなっていたのに、SAファン1台にして大丈夫だろうかと思うかもしれないが、外気冷房中はSAファン1台で屋外から吸気して室内へ給気をおこなっているのであるから問題はない。若干インバーター周波数は上がるかもしれないが、ダンパーが閉まっていたときよりも低いはずであり、RAファンが停止しているのであるから、電力の省エネ効果は大きい。