ビルの省エネ指南書(67)

空調のチューニングポイント

東洋ビル管理株式会社
省エネルギー技術研究室
室長 中村 聡

温度・湿度・日射・風(4

12、室外機の欠点
エアコンの室外機や空冷チラーで、上部にファンがある機種には大きな欠点がある。省エネにも関係するので、その欠点がどのようなもので、その対策となるアイデアも考えてみたい。image001
ファンが上部にあって、放熱器はその下の本体側面にある訳だが、このような構造で放熱器全面に、均等に空気が流れるのだろうか。
ファンが上部にあれば、ファンに近い放熱器上部からの風量が多くなり、下に行くほど風量が少なくなるはずだ。これでは放熱器全体が効率的に使われているとは云えないだろう。

13、風速測定
 放熱器の風速を測定してみよう。
放熱器にはガードが取り付けられており、縦に10分割されているので、このガードのマス目を測定ポイントとして利用することにした。
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写真のようにして、ガードの一番上から下までのマス目中央10ポイントの風速を測定した。
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結果は予想通りであった。一番上の風速が一番速く、下にいくほど遅くなったのだ。
風量も風速に比例して変化するので、風速が均等でなければ、放熱器の上部と下部では放熱量が変わってくる。下部になるほど風量が少なくなるので、放熱効率が悪くなるはずだ。

14、フィルターを利用
 それならば上部の風量を減らせるアイデアがあれば、下部の風量が増えると考えた。そこで写真のような空調用として使っているフィルターを放熱器上部に巻くことにした。排気量が同じであれば、フィルターの抵抗で上部からの風量が減れば、その分はフィルターを巻いていない下部からの風量が増えるはずだ。
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マス目の上から6番目までに、フィルターを巻き付けた写真だ。施工後数日しか経過していないが、24時間運転している室外機なので、汚れるのが早いようだ。空気を吸わない部分は真っ白だが、放熱器のあるフィルターの上部は特に汚れて、下にいくほど汚れが少なくなっている。
これからも上部ほど風量が多く、下部ほど風量が少なくなっていることが分かる。
フィルターは室外機本体のネジを利用して取り付けているので、作業は簡単だ。本来が風を通すものなので、台風のような強風時でも風に煽られ難く、簡単に破れることもない。
3面から放熱するタイプの室外機なので、放熱器全面を覆うように凹字形にフィルターを巻き付けた方が、フィルターがしっかりと固定されるのだが、隣の室外機との間が狭くL字形にしか巻き付けられなかった。
フィルターを巻き付けていない面があれば、風がそちら側に逃げるので、フィルター効果が弱まってしまう可能性はあるだろう。
今回の実験では一枚のフィルターをマス目の6番目まで巻き付けたが、マス目の3番目までを2重に巻き付ければ風速がどのように変化するのか等、放熱効率を追求して、いろいろと実験することもよいだろう。

15、フィルター巻き付け後の測定
 フィルターを巻き付けた状態で、巻く前と同じマス目の位置で風速を測定した。
巻く前と巻いた後の風速を比較するためだ。
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ガードのマス目最上段の風速を測定しているところだ。フィルターを巻き付ける前よりも、風速が落ちている。予想通りの結果である。
フィルターの上からガードの中央位置を確かめながら測定ポイントを決めているので、マス目の中心で測定できている。
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上から6番目のマス目の位置だ。この位置はフィルターがない時と同じ風速であった。
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上から7番目のマス目の位置だ。
ここからはフィルターがないので、6番目のマス目の位置よりも風速が増えて当然だ。
フィルターを巻き付ける前と比較しても風速が増えている。フィルターにより上部の風速が減少したが、下部では風速増加となっている。
これも予想通りの結果である。
このようにして10番目のマス目まで風速を測定した。フィルター無しで10ポイント、有りで10ポイント、合計20ポイントを測定した結果、フィルターの有無で風速がどのように変化したのかを比較表で見てみよう。フィルター巻き付け後の風速合計値が、巻き付け前と比較して、あまり減るようならば、この対策は失敗である。