病院の環境衛生管理の立場から その(3)

公益社団法人 福岡県ビルメンテナンス協会
副会長 古賀 修

5 病院における環境衛生管理状況調査 例
 全国ビルメンテナンス協会において、2001年11月に病院の維持管理状況の把握のために病院の環境衛生管理状況調査を実施している。
 調査方法としては、病院と受託契約により清掃業務を行っている業者21社にアンケート調査を行った。
 調査項目は、病院の概要として経営母体・病院種別・病床数。、また、維持管理項目としては、空気質6項目・空気調和設備3項目・飲料水に関する項目4項目及び、その他4項目について実施状況を調査した。
 表-1に示した項目別実施状況から、空気質に関連する項目の平均実施率は43%と最も低く、飲料水の平均実施率は86%と最も高い結果となった。
 なお、その他として、ねずみ・こん虫等の防除が48%と低い傾向にあった。また、病床数の少ない3施設及び多い3施設を抽出し、表-2にまとめた。
 その傾向としては、病床数の多い病院(特定機能病院)の実施率が高いことがうかがわれた。

6 おわりに
 病院清掃における安全性には、患者などへの配慮と従事者自身の安全の大きな二つの側面がある。
病院清掃が医療の一環を担うという認識に立ち、安全に全力を尽くしているところである。
 しかし、従事者が起こす針刺し事故件数は増加傾向にある。これは、単なる人的原因だけではなく、注射針等が不適切な場所にあったという災害事例が50%以上にも上がってくる。病院側においても、物的な要因をなくすべく追跡調査によるフィードバック体制を確立し、安全衛生意識の向上を切にお願いしたい。
 また、平成9年より病院清掃にも病院機能評価での特に医療環境の整備分野の中で、評価が注目される時代になってきている。清潔で、衛生的な生活環境を整え、快適な医療生活が過ごせる場所の確保のために、病院側と委託事業者が一丸となり、環境衛生管理におけるバランスのとれた管理技術と手法を駆使して取り組む必要があると考えられる。